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国立公園内での焚き火はNG?山での火の取り扱いルール

国立公園の火気注意看板と登山者

約7分で読めます

山頂で湯を沸かし、温かいコーヒーを飲む——登山の楽しみとして思い浮かべる人は多いはずです。しかし、あなたがいつも使っているその火、本当にその場所で使って大丈夫ですか?実は、山での火の取り扱いには法律や条例による明確なルールがあり、知らずに違反しているケースも少なくありません。この記事では、国立公園を中心に山での火に関するルールを整理し、安全に楽しむための知識をお伝えします。

「焚き火」と「バーナー」——そもそもルールが違う

山での火の使用を考えるとき、まず押さえておきたいのが「焚き火(直火)」と「携帯バーナー」は法律上の扱いが異なる場合があるということです。

自然公園法では、国立公園の特別保護地区において「火入れ又はたき火をすること」には環境大臣の許可が必要と定められています(自然公園法第21条)。許可なく行えば法令違反となり、罰則の対象にもなり得ます。

では携帯バーナーはどうかというと、ここが少しややこしいポイントです。法律上の「たき火」にバーナーが含まれるかどうかは解釈が分かれる部分があります。ただし、特別保護地区のように厳格な保護が求められるエリアでは、バーナーを含むすべての火気の使用を避けるのが原則です。

初心者が陥りがちな誤解として、「バーナーは焚き火じゃないから、どこでも使えるだろう」というものがあります。これは正しくありません。法律の規定とは別に、自治体や山の管理者が独自に火気の使用を全面禁止しているケースが数多くあるからです。

国立公園の区域ごとに異なるルール

国立公園と一口にいっても、その中はいくつかの区域に分けられており、保護の厳しさに段階があります。

ここで重要なのは、法律で明確に禁止されていない区域でも、安全上・環境保護上の理由から火の使用が制限されている場所が多いということです。たとえば、ある県では条例によってバーナーを含むすべての火気使用を山域全体で禁止しているケースもあります。

なぜこれほど厳しいのでしょうか。山の植生は一度焼失すると回復に数十年以上かかることがあります。高山帯の植物であれば、なおさらです。また乾燥した季節の落ち葉や枯れ枝は想像以上に燃えやすく、小さな火種が大規模な山火事に発展するリスクがあります。森林法では、過失による山火事に対して罰金50万円以下の罰則が定められています。

※国立公園の区域区分や規制内容は山域によって異なります。詳細は各都道府県・環境省の最新情報をご確認ください。

「火気厳禁」と「直火禁止」は意味が違う

登山口や山小屋で見かける注意書きには、「火気厳禁」と「直火禁止」の2種類があります。この違いを正しく理解しているでしょうか。

「火気厳禁」は文字どおり、バーナーやライターを含め、あらゆる火の使用が禁止されています。このエリアでは温かい飲み物を山で作ることは諦め、保温ボトルに入れて持参するのがベストです。

一方、「直火禁止」は地面に直接火を起こすことが禁じられていますが、携帯バーナーや焚き火台の使用が認められている場合があります。ただし「直火禁止」の看板があるからといって自動的にバーナーOKとは限りません。管理者に確認するのが確実です。

たとえば筑波山では、以前は火気の使用が全面的に制限されていましたが、指定の「バーナーエリア」が設けられ、決められた場所でのみバーナーが使えるようになりました。延焼リスクの低い砂利の広場が選ばれており、こうした取り組みは登山者にとってありがたい動きです。

では、実際に山へ行く前にどう確認すればよいのでしょうか。おすすめの手順は以下のとおりです。

不明な場合は「使わない」という判断をすることも、山を守る大切な行動です。

バーナーを使えるとき——安全に使うための心得

火の使用が認められているエリアであっても、安全への配慮は欠かせません。山での火は平地よりもリスクが高いことを意識しましょう。

まず、の問題があります。山では平地より風が強く、突風が吹くことも珍しくありません。風速が強い日はバーナーの炎が安定せず、転倒や飛び火の危険があります。風防を使う、風の弱い場所を選ぶといった工夫が必要です。一般的に、風速5m/sを超えるような状況ではバーナーの使用を控えたほうが安全とされていますが、条件によって異なりますので、現場の状況をよく観察してください。

次に、周囲の環境に注意します。落ち葉や枯れ枝の上での使用は厳禁です。テントの中や近くでの使用も一酸化炭素中毒や火災の原因になります。安定した平らな地面を選び、万が一に備えて水を手元に用意しておきましょう。

そして意外と見落とされがちなのが、他の登山者への配慮です。狭い山頂や休憩スペースでバーナーを使うと、風向き次第で周囲に熱や匂いが及びます。混雑しているときは使用を控えるか、離れた場所で使うようにしましょう。

※火気の取り扱いで火傷などの怪我をした場合は、医師・専門家の判断に従ってください。応急処置だけで済ませず、下山後に必ず医療機関を受診することをおすすめします。

まとめ

山での火の取り扱いは、「なんとなく大丈夫だろう」で済ませてはいけないテーマです。国立公園の特別保護地区では焚き火に法的な許可が必要であること、「火気厳禁」と「直火禁止」では意味が異なること、そして法律だけでなく自治体や管理者独自のルールが存在すること——この3つを押さえておくだけで、あなたの山での行動は大きく変わります。自然を楽しむために山へ行くのですから、その自然を壊さないルールを知っておくことは、登山者としての基本的な素養です。事前の情報収集を習慣にして、安心して山での時間を楽しんでください。

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