← マガジン一覧に戻る 約6分で読めます

初心者が買わなくていい装備——最初から高いものは必要ない

初心者が買わなくていい装備——最初から高いものは必要ない

登山用品店に足を踏み入れると、高機能なウェアや最新のギアがずらりと並んでいます。店員さんのおすすめを聞いているうちに、気づけば合計金額が10万円を超えていた——そんな経験、ありませんか? 実は、初心者が最初の低山ハイキングのためにすべてを新品で揃える必要はありません。この記事では「最初に買うべきもの」と「まだ買わなくていいもの」の線引きを明確にし、限られた予算を本当に必要な装備に集中させるための考え方をお伝えします。

まず買うべきは「三種の神器」だけ

登山の世界で「三種の神器」と呼ばれているのが、登山靴・ザック(リュック)・レインウェアの3つです。初心者が最初に投資すべきは、基本的にこの3つに絞って問題ありません。

登山靴は、足首の保護と滑りにくいソールが安全に直結するため、代用が利きにくい装備の筆頭です。舗装された遊歩道がメインの山ならスニーカーでも歩けますが、岩や木の根が露出した本格的な登山道を歩くなら、足首を支えるミドルカット以上の登山靴があると安心感が大きく変わります。

ザックは、容量20〜30L程度のものが日帰り登山の標準です。ウエストベルトとチェストストラップがついた登山用ザックは、荷物の重さを腰に分散させる構造になっており、肩だけで背負う普段使いのリュックとは疲労度がまるで違います。

レインウェアは、山では「雨具」であると同時に「防寒着」でもあります。山の天気は急変しやすく、夏場でも標高が高ければ雨に濡れた体は一気に冷えます。上下セパレート型の防水透湿素材のものを1着持っておくことが、安全のための最低条件です。

この3つで予算の目安は3〜5万円程度(価格帯は製品によって大きく異なります)。決して安くはありませんが、この3つは安全と快適さに直結するため、ここにはしっかりお金をかける価値があります。

「まだ買わなくていい」装備リスト

では逆に、最初の段階では購入を見送っても問題ない装備とは何でしょうか。ここを見極めることで、初期費用をぐっと抑えることができます。

高機能なベースレイヤー

登山用の速乾ウェアは確かに優秀ですが、最初の低山ハイキングなら手持ちのポリエステル素材のTシャツやスポーツウェアで十分代用できます。避けるべきは綿素材です。綿は汗を吸うと乾きにくく、体温を奪う原因になります。「綿を避ける」というルールさえ守れば、わざわざ登山専用のものを買い足す必要はありません。

トレッキングポール

膝への負担を軽減してくれる便利な道具ですが、初心者がいきなり使いこなすのは意外と難しいものです。正しい長さの調整や、登り・下りでの持ち替え方を知らないまま使うと、かえってバランスを崩すこともあります。まずはポールなしで自分の足の感覚を掴み、下山時の膝の痛みが気になり始めたら導入を検討するくらいで十分です。

高価なヘッドライト

ヘッドライト自体は日帰り登山でも携行すべき必需品です。万が一の下山遅れに備えるためです。ただし、最初から多機能・高輝度のモデルを選ぶ必要はありません。ホームセンターや量販店で手に入る数百円〜1,000円台のものでも、非常用としては十分に機能します。明るさや防水性能にこだわるのは、夜間行動やテント泊を始めてからでも遅くありません。

テント・シュラフ(寝袋)・クッカー類

宿泊登山やテント泊に必要なこれらの装備は、日帰り登山の段階では出番がありません。「いずれ使うから先に買っておこう」と思いがちですが、登山を続けるうちに自分のスタイルや好みがはっきりしてくるため、早すぎる購入は「結局サイズ感が合わなかった」「もっと軽いものが欲しくなった」といった買い直しにつながりやすいのです。

賢く始めるための3つの選択肢

「三種の神器」以外の装備を揃えるとき、いきなり新品を買う以外にもいくつかの方法があります。

1つ目は、レンタルサービスの活用です。 近年は登山装備一式をレンタルできるサービスが充実しています。特にザックや登山靴のように「実際に使ってみないとフィット感がわからない」装備は、レンタルで試してから購入を判断するのが合理的です。

2つ目は、手持ちの代用品を使うことです。 先述のウェア類に加えて、水筒は普段使いのもので十分ですし、行動食はスーパーやコンビニで買えるもので問題ありません。「登山専用」と名のつく製品にすべてを置き換える必要はなく、手持ちのもので代用できるかどうかをまず考えてみてください。

3つ目は、経験者に相談することです。 登山を長く続けている人は、たいてい「最初に買って失敗したもの」を1つや2つ持っています。そうした実体験に基づくアドバイスは、店頭の商品説明よりもずっと実用的です。何を買うべきか迷ったら、経験者に聞いてみるのが最短ルートかもしれません。

まとめ

登山を始めるのに必要な初期投資は、思っているほど大きくありません。最優先は登山靴・ザック・レインウェアの「三種の神器」。それ以外の装備は、手持ちの代用品やレンタルを活用しながら、実際に山を歩く中で「本当に自分に必要なもの」を見極めてから購入しても遅くはありません。

大切なのは、装備を完璧に揃えてから山に行くことではなく、まず山に行ってみることです。1回目の山行で「次はこれがあると便利だな」と感じたものが、あなたにとって本当に必要な装備です。装備選びは登山の楽しみの一部。焦らず、自分のペースで少しずつ揃えていきましょう。

YAMATOMOで山の仲間を見つけよう

山チャット、コミュニティ、ガイド依頼など、山を楽しむための機能が充実。

App Storeでダウンロード