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登山中の水分補給——何をどれだけ飲むべきか

登山中に水筒から水分補給する登山者

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「喉が渇いてから飲めば大丈夫」——もしあなたがそう思っているなら、それは山では通用しない常識かもしれません。実は、喉の渇きを感じた時点で、体はすでに 体重の約2% に相当する水分を失っているとされています。街中ならそれでも大きな問題にはなりませんが、登山中の脱水は判断力の低下や足のつりに直結し、最悪の場合、遭難につながることもあります。この記事では、山での水分補給の「何を」「いつ」「どれだけ」を、初心者にもわかりやすく解説します。

登山で失う水分量は、想像以上に多い

普段の生活で1日に必要な水分量は約 2〜2.5リットル が一般的な目安とされています。では登山ではどうでしょうか。登山中は運動強度が高いうえに、呼吸が荒くなることで口や鼻から失われる水分(不感蒸泄)が増えます。さらに、標高が上がるにつれて空気が乾燥するため、汗以外のルートでも体の水分はどんどん奪われていきます。

一般的な目安として、登山中の必要水分量を算出するのに 「体重(kg) × 行動時間(h) × 5(ml)」 という計算式がよく知られています。たとえば体重60kgの人が6時間行動する場合、60 × 6 × 5 = 1,800ml が目安です。ただし、これはあくまで目安であり、気温・湿度・風速・ルートの標高差・個人の発汗量によって大きく異なります。夏場や急登が続くルートでは、これ以上の水分が必要になることも珍しくありません。

ここで初心者が陥りがちな誤解があります。「荷物を軽くしたいから水を減らそう」という判断です。水は確かに重い。1リットルで約1kgにもなります。しかし、水を減らして脱水状態になれば、パフォーマンスは著しく低下し、結果的に行動時間が延びてさらにリスクが高まるという悪循環に陥ります。水の重さは「安全のための重量」と考えるのが賢明です。

水だけでは足りない? 「何を飲むか」の正しい選び方

「とりあえず水を持っていけばいい」と考えがちですが、汗と一緒に ナトリウムなどの電解質 も失われています。水だけを大量に飲むと、体内の電解質濃度が薄まり、「低ナトリウム血症」という状態を引き起こすリスクがあります。頭痛やめまい、ひどい場合には意識障害に至ることもあり、熱中症と症状が似ているため間違った対処をしてしまう危険もあります。

では、山に持っていく飲み物はどう選べばよいのでしょうか。

注意したいのは、カフェインを多く含む飲み物(コーヒー、緑茶、エナジードリンクなど)は利尿作用があるため、メインの水分補給には向かないという点です。山頂で飲むコーヒーは格別ですが、それは「お楽しみ」と割り切って、水分補給の軸はカフェインフリーの飲み物にしましょう。

おすすめの方法は、水とスポーツドリンク系を併用 すること。水を主体にしつつ、1〜2時間おきにスポーツドリンクを挟むことで、水分と電解質のバランスを保ちやすくなります。粉末タイプの電解質パウダーを持っていけば、水に溶かすだけで済むので荷物の軽量化にもつながります。

「いつ飲むか」が実は一番大事

水分補給で見落とされがちなのが タイミング です。冒頭で触れたように、「喉が渇いてから飲む」では遅い。これは登山において特に当てはまります。標高が高く乾燥した環境では、汗をかいている自覚がないまま水分が失われることがあるためです。風が強い稜線では、汗が瞬時に蒸発して「自分は汗をかいていない」と錯覚しやすくなります。

効果的な水分補給のタイミングは以下の通りです。

ここで実践的なコツを一つ。ザックを下ろさなくても飲めるように、ハイドレーションシステム(チューブ付きの水筒)やサイドポケットに入れたボトルを活用すると、立ち止まらずにこまめな水分補給ができます。「いちいちザックを下ろすのが面倒で飲まなかった」というのは、実はかなり多くの登山者が経験する落とし穴です。飲みやすい仕組みを作っておくことが、結果的に脱水予防の最善策になります。

※ 水分補給の適量は個人差が大きく、持病をお持ちの方や体調に不安がある場合は、医師・専門家の判断に従ってください

まとめ

登山中の水分補給で押さえておきたいポイントは3つ。まず 「量」——体重 × 行動時間 × 5mlを目安に、条件によって上乗せする意識を持つこと。次に 「種類」——水だけでなく電解質も補給できる飲み物を併用し、カフェイン飲料に頼りすぎないこと。そして 「タイミング」——喉が渇く前に、少量をこまめに飲む習慣をつけること。

どれも難しいテクニックではありません。しかし「知っているかどうか」で、山での安全と快適さは大きく変わります。次の山行では、ぜひ自分なりの水分補給プランを立ててから出発してみてください。なお、ここで紹介した数値はあくまで一般的な目安であり、条件によって異なります。心配な場合は、専門家や山岳ガイドに相談することをおすすめします。

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