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山行記録の残し方——写真・コースタイム・メモのコツ

山行記録をメモ帳に書き込む登山者の手元

あの日の山頂から見えた景色、覚えていますか? 3ヶ月前に登った山のコースタイムや、途中で見つけた分岐の様子。記憶は驚くほど早く薄れていきます。でも、ちょっとした記録の習慣があるだけで、過去の登山は「次の山行をもっと楽しく、もっと安全にしてくれるデータ」に変わります。この記事では、初心者でも無理なく続けられる山行記録の残し方を、写真・コースタイム・メモの3つの軸から紹介します。

なぜ山行記録を残すのか——思い出だけじゃない実用的な価値

山行記録というと「登山日記」のようなものを想像するかもしれません。もちろん思い出として振り返る楽しさもありますが、実は記録の本当の価値は次の登山の安全性と快適さを高めることにあります。

たとえば、同じ山に半年後にもう一度登ったとき、前回のコースタイムと比較すれば自分の体力の変化がわかります。「前回より30分遅い」と気づけば、体調の変化に早めに対応できるかもしれません。また、「あの分岐は左に見える大きな岩が目印だった」というメモが一行あるだけで、道迷いのリスクがぐっと下がります。

初心者が陥りがちな誤解として、「記録は上級者がつけるもの」という思い込みがあります。実際は逆です。経験の浅い時期こそ、自分のペースや体力の基準値がわかっていないため、記録をとることで「自分の山での実力」が見えてきます。完璧な記録である必要はありません。続けることが何より大切です。

写真で残す——撮影タイミングと「時刻」の活用法

スマートフォンやカメラで撮った写真には、自動的に撮影日時(Exifデータ)が記録されます。つまり、写真を撮るだけで、その時刻にその場所にいたという記録が残るのです。これを意識するだけで、写真は立派なコースタイム記録になります。

記録として役立つ撮影ポイント

「景色がきれいだから撮る」に加えて、「ここは次に来たとき迷いそうだから撮る」という視点を持つだけで、写真の実用性は格段に上がります。たとえば、ガレ場の入口や、踏み跡が薄くなる樹林帯の分岐など、地図だけでは判断しにくい場所こそ写真の出番です。

もう一つのコツは、天気や足元の状態を撮ることです。「このあたりからぬかるみが始まった」「稜線に出たら風が強かった」という情報は、同じ時期に再訪するときの装備選びに直結します。

コースタイムの記録——「ざっくり」でも十分役に立つ

コースタイムの記録と聞くと、5分刻みで几帳面にメモしなければと身構える方もいるかもしれません。でも、実用上は主要なポイントの通過時刻だけで十分です。

最低限記録しておきたいポイント

これだけあれば、「登りに何時間かかったか」「休憩を含めた全行動時間」が算出できます。地図に記載されているコースタイムは、一般的に休憩時間を含まない正味の歩行時間として設定されています。そのため、自分の記録と比較するときは、休憩時間を差し引いた正味歩行時間で比べるのがポイントです。なお、コースタイムの基準は地図の出版社や条件によって異なりますので、あくまで目安として活用してください。

登山アプリのGPSログ機能を使えば、こうした時刻記録はほぼ自動化できます。ただし、アプリだけに頼るのはリスクがあります。バッテリー切れや端末の故障で記録が消えてしまうこともあるため、最低限の時刻だけはメモ帳に手書きしておく「二重管理」がおすすめです。

メモで残す——何を、どう書くか

写真とコースタイムだけでは記録しきれない情報があります。「身体の感覚」や「判断の理由」です。これらはメモでしか残せません。

書いておくと役立つメモの例

大事なのは、山にいるうちに書くことです。下山してからまとめようとすると、驚くほど細部を忘れています。ポケットに入る小さなメモ帳とペンを持ち歩き、休憩のたびに数行でいいので書き留めましょう。スマートフォンの音声メモ機能を使って、歩きながら吹き込むのも手軽な方法です。

メモの内容は、きれいな文章である必要はまったくありません。「キツい。水残り500ml。風強い。」——こんな箇条書きでも、後から読み返せば十分な情報になります。

まとめ——記録は「未来の自分」への贈り物

山行記録は、完璧を目指す必要はありません。写真を意識的に撮り、主要ポイントの時刻を残し、気づいたことを数行メモする。この3つだけで、次の山行の計画精度は確実に上がります。

記録を続けていくと、自分だけの「山のデータベース」ができあがります。体力の変化、季節ごとのルート状況、装備の改善ポイント。それは市販のガイドブックには載っていない、あなた専用の登山ガイドです。

そして、その記録を仲間と共有することで、情報はさらに大きな価値を持ちます。あなたが残した「あの分岐は迷いやすい」というメモが、誰かの道迷いを防ぐかもしれません。経験者の何気ない一言が、初心者の安全を守ることは珍しくないのです。

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