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三点確保の基本——転落・滑落を防ぐ「岩場の歩き方」

三点確保の基本——転落・滑落を防ぐ「岩場の歩き方」

クサリ場で右手と左足を同時に動かしてしまい、ヒヤッとした——岩場でこんな経験はありませんか? 岩場の通過で命を守る基本中の基本が「三点確保」です。難しい技術ではないのに、いざ実践となると意外と崩れがち。あなたは三点確保を「言葉として知っている」のか「動作として身についている」のか、自分でわかりますか? この記事では、三点確保の意味と実践のコツを整理します。

「三点確保」とは何か

三点確保(三点支持)とは、岩場や急斜面の登り下りで、両手両足のうち常に3点を岩や地面に接触させ、残り1点だけを動かす歩行技術です。クライミングや沢登りの基礎技術として知られていますが、一般登山でも岩場・クサリ場・はしご場で必須の動作になります。

シンプルな概念ですが、実際には「焦ると2点しか接触していない」「両手両足のバランスが崩れている」といった状態に陥りがちです。意識して動作に落とし込むことが大切です。

なぜ三点確保が転落を防ぐのか

三点確保が転落予防の核になる理由は、「動かす1点が滑っても、残り3点で支えられる」からです。同時に2点以上を動かしてしまうと、片方が滑った瞬間に体重を支えるものがなくなり、一気に転落します。

登山中の滑落事故の多くは、ほんの一瞬の足滑り・手滑りから始まります。三点確保を徹底していれば、一点が外れても致命傷を防げる可能性が高くなります。

実践——どこに、どう支点を取るか

支点の選び方

支点に置く前のチェック

支点に体重をかける前に、必ず軽く押したり引いたりして「動かないか」を確認します。岩でも、見た目はしっかり見えてもグラつくものがあります。木の根は腐っているかもしれません。「テストしてから本荷重」が鉄則です。

動かす順序

三点確保の動作は次の順で行います。

  1. 次の支点を見つけ、目で確認
  2. 残り3点でバランスをとり、1点を動かす
  3. 新しい支点を確認しながら体重を乗せる
  4. 再び3点接触の状態に戻り、次の動作へ

やりがちなNG動作

①「同時に2点」を動かす

焦ったり、楽をしようとしたりすると、無意識に手と足を同時に動かしてしまうことがあります。リズムを意識的に「ゆっくり、一点ずつ」に変えるだけで、岩場の安全度は大きく上がります。

②体を岩に密着させすぎる

怖さから岩に体を貼り付けると、足の裏に体重がかからずに滑りやすくなります。岩からは少し体を離し、足裏で岩を踏みしめる感覚を意識してください。重心は足の真上です。

③下を見ない

上ばかり見て登り、下りで足元が見えなくなるパターン。下りでは、降ろす足の置き場所を必ず確認してから体重を移すこと。下を見ながらの「後ろ向き下り(クライムダウン)」が必要な場面もあります。

クサリ場・はしご場での応用

クサリは「補助」と心得る

クサリ場でやりがちな間違いは、クサリだけに体重を預けてしまうことです。クサリは「補助の支点」であって、メインは岩のホールドや足場の選び方です。クサリに頼り切ると、もし支点が抜けたり、雪・氷で滑ったときに致命的です。クサリを使うときも、足は確実なホールドに置く意識を。

はしごでも三点確保

はしごでも、両手両足のうち3点を必ず接触させます。同時に2段以上を上がらない、片手でカメラを構えない、といった基本を守ります。下りは特に体が前のめりになるので、はしごの段に向かって体を「立てる」姿勢で。

渋滞時の落ち着き

クサリ場・はしご場は渋滞しがちです。後ろから人が来ても焦らず、自分のペースで一動作ずつ確実に。「待たせて悪い」と感じるよりも、安全に通過するほうが本人にも周囲にも結果的によいことです。

※ 三点確保はクライミング・沢登り・岩稜登山などで体系的に学べる技術です。本記事は基礎の整理であり、本格的な岩場の通過には実技指導を伴う講習会への参加をおすすめします。

まとめ

三点確保は、岩場・クサリ場・はしごでの転落を防ぐ基本中の基本です。支点を確認してから体重を乗せる、一点ずつ動かす、岩に密着しすぎない、下を見て足を置く——シンプルな原則ですが、徹底することで滑落リスクは大幅に下がります。クサリは「補助」、メインは岩と足場という意識を忘れずに。

三点確保は「知識」ではなく「習慣」です。日頃の登山で岩場や少し危ない箇所を通過するたびに意識して練習することで、いざという時に自然に動作が出るようになります。仲間と一緒に「いまの動作三点確保できてた?」と声を掛け合うのも、岩場の安全文化を育てる第一歩です。

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