「富士山って、いつから登れるの?」——夏が近づくと、毎年多くの人が検索するこの疑問。実は富士山には、誰でも登ってよい「山開き」から「山じまい」までの短い夏の開山期間しかありません。
しかも近年は、登山者の集中や弾丸登山による事故を防ぐため、事前予約・通行規制・協力金といった新しいルールの導入が急速に進んでいます。この記事では、ルートごとの開通時期の目安と、2026年シーズンに向けて押さえておきたいポイントを整理します。
山開きの正確な日付や規制内容は年ごとに見直され、直前に発表されることもあります。本記事は例年の傾向をまとめたものです。2026年の確定情報は、必ず山梨県・静岡県および各登山道の公式サイトで最新の発表をご確認ください。
そもそも「山開き」とは
「山開き」とは、その年の登山シーズンの始まりを指す言葉です。富士山では、山小屋や救護所が開設され、登山道の安全が確認されたうえで開山が宣言されます。逆に言えば、開山期間外の富士山は山小屋も救護所も閉まり、救助体制も整わない「冬山」であり、軽装での入山は極めて危険です。
富士山には4つの主要な登山ルートがあり、それぞれ管轄する県や開通時期が異なります。「富士山の山開き」とひとくくりに語られがちですが、実際にはルートごとに開く日が違う点に注意が必要です。
ルート別・開通時期の目安
例年の傾向として、開通時期はおおむね次のように分かれます(年によって前後します)。
- 吉田ルート(山梨県側): 例年7月上旬(おおむね7月1日前後)に開通。最も登山者が多く、山小屋も豊富。
- 富士宮・須走・御殿場ルート(静岡県側): 例年7月10日前後に開通することが多い。吉田ルートより数日遅れる傾向。
- 閉山(山じまい): いずれのルートも9月上旬〜中旬に閉山。夏のごく短い期間だけ開かれている。
御殿場ルートは標高差が大きく健脚向け、富士宮ルートは最高点の剣ヶ峰に近い、といったルートごとの個性もあります。初めてなら山小屋が多く情報も得やすい吉田ルートが選ばれることが多いです。
進む事前予約と通行規制
近年の富士山で最も大きな変化が、オーバーツーリズム対策としての通行管理です。とくに山梨県側の吉田ルートでは、登山道のゲート設置、一日の通行人数の上限、通行料(協力金)の徴収、オンラインでの事前予約といった仕組みの導入が進んできました。
これらの制度は年ごとに内容が更新されており、金額・予約方法・規制時間帯などは変わる可能性があります。2026年に登る計画があるなら、まずは「予約が必要か」「通行料はいくらか」「いつから予約が始まるか」を、各公式サイトで早めに確認しておきましょう。人気のルートやマイカー規制下のアクセスは、早期に手配が埋まることもあります。
弾丸登山はなぜ危険なのか
規制強化の大きな理由のひとつが、「弾丸登山」の増加です。弾丸登山とは、山小屋に泊まらず、夜通し歩いて一気に山頂を目指す登り方を指します。睡眠も高度順応もないまま標高3,776mに挑むため、高山病・低体温症・転倒のリスクが跳ね上がります。
富士山は標高が高く、天候も急変します。日中に晴れていても、山頂付近は真夏でも氷点下になり、強風や雷に見舞われることも珍しくありません。体調に異変を感じたら、登頂にこだわらず引き返す判断が命を守ります。迷ったら、早めに下山してください。
2026年シーズンを安全に楽しむために
富士登山を成功させる鍵は、次の3点に集約されます。
- 開通時期と規制を確認: 登るルートの山開き日・通行料・予約の要否を公式サイトでチェックする。
- 山小屋泊で高度順応: 弾丸登山を避け、山小屋に一泊して体を慣らす行程を組む。
- 冬山並みの装備: 防寒着・雨具・ヘッドランプを必ず携行し、真夏でも寒さに備える。
毎年7月、富士山はわずかな夏のあいだだけ私たちに頂を開いてくれます。日本一の山に登る計画は、正確な開通情報を押さえることから始まります。装備や行程づくりの基本は富士登山の完全ガイドに、登る前に知っておきたい富士山の歴史は世界遺産登録の記事にまとめています。準備を整えて、最高の一日を迎えてください。